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レトロな雰囲気が人気「町民の台所」 突然の取り壊し方針、市場関係者ら戸惑い広がる 沖縄・本部町営市場


レトロな雰囲気が人気「町民の台所」 突然の取り壊し方針、市場関係者ら戸惑い広がる 沖縄・本部町営市場 もとぶ手づくり市が開かれ、多くの人でにぎわう本部町営市場=2014年6月15日、本部町営市場
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

 役場に近い本部町の中心地に、1966年に建設された本部町営市場は、長く町民の台所として親しまれてきた。精肉や鮮魚など生活に密着した店舗に加え、近年は雑貨や喫茶店が出店し、レトロな雰囲気も人気となり、観光客も多く訪れていた。

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 町によると、建設から約60年がたつ建物の耐力度が基準を下回ることが明らかになったのは今年7月。以降、町は入居店舗に対し、再整備を進める方針などを説明しているという。町の担当者は「すぐに強制的に入居店舗へ退去を求めるのではなく、詳細な取り壊し時期は話し合いながら決めたい」としている。

 市場は入居店舗が減少していた2006年から「もとぶ手づくり市」を開催し、入居店舗によって、にぎわいを創出してきた経緯がある。現在の店舗数は28店。入居店舗にとって突然の取り壊し方針は寝耳に水だった。老朽化については多くの店舗が理解を示すが、数年で退去を迫られる事態に戸惑いが広がる。

 手づくり市に携わり、飲食店を営む知念沙織さんは「2~3年で退去と言われても、商売しながら出店できる空き店舗を探すのは難しい。市場は多くの人が集う場所なので、もっと話し合いをして、地域の人の意見を聞く必要があるのではないか」と話した。

 本部町営市場通り会の奥野美和会長らは住民説明会の開催や、退去・移転費用の補助などを求め、町議会に陳情を提出することも視野に対応を検討している。 

(池田哲平)