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67の箱店主が出店する“推し本”の世界 那覇の栄町に「本の共同売店」がオープン 沖縄


67の箱店主が出店する“推し本”の世界 那覇の栄町に「本の共同売店」がオープン 沖縄 オープンした栄町共同書店の店内。区画ごとに「箱店主」が思い思いの本などを並べている=1日、那覇市安里の栄町市場
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋野 雅明

 【那覇】共同売店の伝統を現代に生かして運営する「栄町共同書店」が1日、那覇市安里の栄町市場にオープンした。約10平方メートルの店には、本棚の区画ごとに67の「箱店主」が出資・出店し、思い思いの古本や工芸品などが並んだ。発起人たちは「市場のように、皆で助け合ってつながり、本の良さを発信する場になれば」と期待を膨らませている。

 書店は、沖縄戦後史研究者の古波藏契さん、編集者の篠田恵さんら6人が発起人となり企画した。箱店主らが共同で出資、運営、労働を担う「労働者協同組合」の形態で運用する。今年7月下旬にクラウドファンディングで資金を募集したところ、約10日間で目標額を達成。箱店主も、ほぼ同時期に県内外からの応募で埋まり、約2カ月でのスピード開店にこぎつけた。

 本棚の1区画は幅45センチ、高さ26センチまたは36センチ。それぞれの区画は、沖縄の歴史や漫画などのサブカルチャー、好きな作家の「推し本」を並べたりと、個性たっぷりだ。市場の餅店が使っていたショーケースをリサイクルしてディスプレーに使うなど、市場の懐かしい雰囲気も醸し出している。

栄町共同書店の開店作業をする発起人の古波藏契さん

 戦前、市場の場所に県師範学校女子部と県立第一高等女学校があった縁で「ひめゆり平和祈念資料館」も図録などを販売している。

 古波藏さんは「全国で書店が減っている中で、本の良さを伝える場を広げたい。栄町市場の『つながる文化』を取り込んで、魅力を感じる場になってほしい」と話した。

 店は午前10時~午後6時営業。水曜と日曜定休。

 栄町共同書店が運用する「労働者協同組合」は2022年に宮古島市平良狩俣で、県内で初めて設立され、弁当配送などを手がけている。

 箱店主が参加する形態は「シェア型書店」とも呼ばれ、大宜味村・喜如嘉翔学校内の「山ブックス」も営業している。同店は栄町共同書店にも出店している。 

(嶋野雅明)