南城市知念知名区では伝統行事「知名ヌーバレー」を通じて区民の絆を強めている。毎年旧暦の7月16日の盆明けに実施され、200年以上の歴史があるとされる。ヌーバレーの調査を行う区民の仲宗根幸男さん(85)によると、「ヌーバレーアシビ」は「野神遊び」を意味し、公式な記録よりもさらに古い500年以上の歴史があると推測されている。ヌーバレー保存会を中心に、老人会や青年会など大勢が参加し、野の神に感謝をささげ、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る。琉球古典音楽の人間国宝、故・照喜名朝一さんの故郷で、生前はヌーバレーにも長く携わっていた。今年9月には知名くらじ広場に照喜名さんの銅像も建てられた。
少子高齢化で人口は減少しつつあるものの、ヌーバレーには市外に移り住んだ人や市外から移住してきた住民も、老若男女問わず力を合わせて取り組む。前城隆区長(67)は「ヌーバレーは区民のアイデンティティーの一部となっている」と語る。「ヌーバレーを通して自然と近所に住む人たちのことが理解できるようになる。近所付き合いが希薄になりつつある現代でも区民の結びつきは強い」と話した。
前城隆区長から一言 長い歴史を持つヌーバレーを引き継いでいけるよう力を尽くしたい。若者や子どもたちも一生懸命取り組んでくれている。
知名区メモ 8月末現在、280世帯638人が住む。東御廻りの拝所の一つ「知名御川(ちなうっかー)」などの文化資源もある。
(普天間伊織)