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ボール追う 1人でも 久米島高サッカー部 糸数凪沙さん 仲間と駆ける喜びも


ボール追う 1人でも 久米島高サッカー部 糸数凪沙さん 仲間と駆ける喜びも 県高校新人大会の決勝でPK戦の末に首里に勝利し、合同チームの仲間と共に笑顔で駆けだす糸数凪沙さん(左)=3日、恩納村赤間運動場(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 部員は1人。「1人でもやる」、そう決めている。久米島高校1年生の糸数凪沙(なぎさ)さん(16)は女子サッカー部に所属している。顧問の天願隆寿(りゅうじゅ)教諭(26)と2人で練習する日々を送る。同じように部員数の少ない他校との4校合同チームで挑んだ県高校新人大会。結果は見事に優勝。1人でもやる尊さと仲間がいる喜びをかみしめて、サッカーがもっと好きになった。

 久米島町立清水小1年でサッカーを始めた。2歳上の兄に誘われた。がむしゃらにボールを追いかけ、すぐにとりこに。楽しくてたまらない。

 久米島西中でも女子サッカー部に所属。部員は11人以上いた。陸上短距離も掛け持ちした。陸上は1人だった。この経験で「1人でもやる力が身についた」。

顧問の天願隆寿教諭(手前)と1対1の練習をする糸数凪沙さん=8日、久米島高校グラウンド(提供)

 高校進学は少し迷った。久米島高校には女子サッカー部がない。部のある本島の高校への進学を考えた。だけど「久米島が良かった」「周囲の人が優しくて安心して通えるから」。

 入学後、部員2人の男子サッカー部の先輩と共に練習した。先輩が引退後、また1人になった。それでも「サッカーがしたい」、思いは揺るがない。「なければつくればいい」と決意し、女子サッカー部を創部した。

 平日、主に月・水・金曜の週3回、学校のグラウンドで天願教諭と汗を流す。パス、1対1、シュート練習。土曜は母校の中学で後輩たちに交じってプレーすることも。性格は「人見知り。静かなタイプ」。プレー中は闘志を前面に出さず、内に秘め、ひたむきにボールを追いかける。

顧問の天願隆寿教諭(右)とシュート練習をする糸数凪沙さん=8日、久米島高校グラウンド(提供)

 1月下旬から2月上旬にかけて開催された県高校新人大会。八重山、美里、普天間と共に合同チームで出場した。背番号7。初戦から決勝までの4試合にスタメン出場した。4得点し、FWの役目を果たした。首里との決勝ではスコアレスでPK戦までもつれた。3番手のキッカーを務めゴール左上に見事に決めた。優勝が決まると喜びが全身に込み上げ、仲間と共に駆けだした。

 17日に鹿児島県で開幕する九州大会に挑む。目標は「得点王」。1人でもやる強さと、仲間がいる頼もしさを原動力にピッチを縦横無尽に駆け回る。

 (照屋大哲)