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【記者コラム】むなしさを情熱へ 名波一樹(暮らし報道グループ運動班)


【記者コラム】むなしさを情熱へ 名波一樹(暮らし報道グループ運動班)
この記事を書いた人 Avatar photo 名波 一樹

 記者になってもうすぐ1年。運動班としてスポーツの現場を走り回った。正直に言うと、スポーツにさほど興味がない人間だった。野球にいたっては守備位置も知らず、「ショートってどこだ」とそんな状態からスタートした。

 甲子園や国体、花園など、県外でも県勢選手を追った。10月のかごしま国体は、ボクシングを多く取材した。県外の猛者を相手に、アウェーで戦う沖縄のボクサーたち。自身より上背のある相手に真正面から突っ込み、拳をたたき込む。敗れても執念を見せつけていた。

 アスリート、特に学生たちの熱い試合と青春ドラマを見ると、こちらまで熱を帯びてしまう。そんなとき「もっとスポーツに打ち込めば良かった」と思うことがある。運動経験はあるものの、中途半端だった学生時代を振り返ると少しむなしくなるのだ。

 だが、このむなしさを情熱へ昇華したい。記者席という〝特等席”にいる以上、会場の熱気を、選手の思いを、誰よりも子細に寄り添って描きたい。私にとってのリングは紙面なのかもしれない。

 朝は先輩記者や他紙の記事を読み、「私の何倍も読み応えがある」と感じて早々にストレートをお見舞いされる。昼は取材で体力を削られダウンしそうに。夜は執筆の遅さやミスの多さにへこたれる。しかしKOされるわけにはいかない。ペンとノートを構え、立ち上がり続けたい。