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「やること変わらない」 美ノ海、春場所へ静かな闘志


「やること変わらない」 美ノ海、春場所へ静かな闘志 新入幕の九州場所13日目、すくい投げで佐田の海を破り県出身力士で24年ぶりの幕内勝ち越しを決めた美ノ海(左)=2023年11月24日、福岡国際センター
この記事を書いた人 Avatar photo 古川 峻

 前頭13枚目の美ノ海が幕内3場所目の春場所を前に、心境を語った。昨年11月の九州場所で30歳と遅咲きの新入幕を果たし、9勝6敗で新入幕で唯一勝ち越した。2場所目となった今年1月の初場所は7勝8敗と負け越したが、「負けの数は意識していなかった。やることは一日一日変わらない」と静かな闘志を燃やしている。

 178センチ、141キロの小兵。初場所は5勝4敗の10日目から4連敗を喫し、負ければ降格の可能性があるところまで追い込まれた。だがこの時も「はたかれて連敗していた。これをなくせばいい」と新たな発見を喜んでいた。残り2日で番付が上の湘南乃海、正代に連勝して7勝で終えた。

 2016年に初土俵を踏んだ後は3度も十両との幕下の間を行き来した。けがに苦しんだ時もあり、7年半かけて新入幕した。長く相撲を取る中で気持ちの浮き沈みも少なくなり、「毎日見に来てくれるお客さんは違うので、負けても次の人にいい姿を見せたい」と常に力を尽くしている。

 部屋入りした2016年より力士が増えた実感があるという。だが、全国の巡業で学校や公園に土俵があるのを見ると、「まだ沖縄に相撲の文化が根付いていない」と感じる。「自分が活躍することで沖縄に相撲ができる環境が増えてくれたらいい」と語る。

 子どもの頃に沖縄角力を浜辺でしたこともあった。「同じ相撲なので通じるものはあった」と振り返る。沖縄角力と共存する独自の歴史を持つ沖縄の相撲が盛り上がるよう、奮闘している。

 (古川峻)