エナジックのエース・古波蔵　変化球多彩に興南打線ねじ伏せる＜沖縄県春季高校野球＞

　第71回県高校野球春季大会（県高野連主催、琉球新報社共催）の決勝は10日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、エナジックが興南を2―0で破り、初の優勝を果たした。エナジックは第154回九州地区大会（20～25日、佐賀）への出場権を得た。

　エナジックは五回1死二塁の好機から知花泰空の適時二塁打で先制点を奪取した後、四死球などで追加点を挙げて2―0とした。その後も古波蔵虹太ら投手陣の粘投や内外野の好守で無失点のまま逃げ切った。

　エナジックのエース古波蔵虹太は興南打線も恐れず変化球を武器に腕を振った。フォークやスプリットなど落ちる球種で打たせて取り、凡打に封じた。先発から七回までを投げきり「沖縄で一番強いチームの打線を抑えられた」と自信を付けた様子だった。

　先制した直後の五回裏。無死一、二塁と走者を背負う失点の危機に直面した。それでも「バントはないだろうな」と相手打者を冷静に分析。直球で攻め、最後は落ちる球で空を切らせた。さらに次打者はスプリットで二ゴロに打ち取り、併殺でピンチを切り抜けた。継投の福本琉依も九回で走者を背負ったが、カーブや縦スライダーなどで無失点で締めた。

　うんな中からエナジックに進学した古波蔵。ベンチから監督のサインがない「考える野球」に初めの頃は戸惑い、何度も苦杯をなめた。初優勝の余韻に浸りながらも「初の九州で自分たちの野球がどこまで通用するか試したい。甲子園も目指す」と闘志を燃やした。

（名波一樹）

【決勝】4月10日　沖縄セルラースタジアム那覇

エナジック
　000 020 000｜2
　000 000 000｜0
興　　南

（エ）古波蔵、福本―龍山
（興）比嘉、仲間、金城―仲本
▽二塁打　知花（エ）
▽犠打　新里、平良（以上エ）、石川、嘉数（以上興）
▽盗塁　龍山（エ）
▽試合時間　2時間27分
　【評】機動力が強みのエナジックは五回に龍山暖の二盗から1死二塁とし、知花泰空が先制適時二塁打を放って先制点を挙げた。安打数では上回った興南だが打線はつながらず、迎えた最終回で2死一、二塁の好機を得たが逆転とはならなかった。