第71回県高校野球春季大会(県高野連主催、琉球新報社共催)の決勝は10日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、エナジックが興南を2―0で破り、初の優勝を果たした。エナジックは第154回九州地区大会(20~25日、佐賀)への出場権を得た。
エナジックは五回1死二塁の好機から知花泰空の適時二塁打で先制点を奪取した後、四死球などで追加点を挙げて2―0とした。その後も古波蔵虹太ら投手陣の粘投や内外野の好守で無失点のまま逃げ切った。
興南・比嘉、五回失点悔やむ
五回、興南の先発・比嘉澄久は1死を取って気が緩んでしまった。それまで力投を見せたが、集中力が切れて続く打者を四球で塁に出す。さらに二塁打を許し失点した。「ピンチの時に抑えきれなかった」。この回でマウンドを降りた。
だが2年の成長株を我喜屋優監督は「度胸が一番大事だが、落ち着いて投げていた」とたたえた。
直球とカーブを中心に試合を組み立て、けん制を挟んで相手の思い通りに盗塁させない。比嘉は「球速も増したし、決勝で先発を任せてもらえた」と成長を実感する。
昨年の秋季大会はけがで出られなかったが、春に向けて再起を図ってきた。工事でグラウンドが約4カ月使えなくとも、校内の空きスペースで体づくりに励むなど着実に力を付けてきた。春季大会はけがで不在のエースに代わり、比嘉を中心に3人の投手陣で対戦相手を抑えてきた。
4月にグラウンドが完成すれば実戦練習が十分にできる。夏までにエースも復活する見込みだ。比嘉は「日頃の練習から常にピンチを意識し、レベルアップしたい」と夏に向けてさらなる鍛錬を積む。
(古川峻)
石川主将「焦ってしまった」 7安打放つも、好機生かせず
九回2死、興南の走者が初めてホームを目指したが、憤死した。エナジックより多い7本の安打がありながら最後まで流れを引き寄せられなかった。石川駿介主将は「投手陣が頑張ったのに、攻撃でつなげられなかった」と悔やんだ。
ここぞという場面で飛球や見逃し三振などを出した。石川主将は「焦ってしまい、全体的に早振りになっていた」と反省する。声かけなどで悪い雰囲気を断ち切ろうとしたが、最後まで打開できなかった。
チャンスを生かすため、バントや野手の足元を狙った打撃など打線をつなぐ練習に励むつもりだ。石川主将は「打つべきところで状況に応じたバッティングをできるようにしたい」と集大成の夏へ改善を誓った。
(古川峻)
【決勝】4月10日 沖縄セルラースタジアム那覇
エナジック
000 020 000|2
000 000 000|0
興 南
(エ)古波蔵、福本―龍山
(興)比嘉、仲間、金城―仲本
▽二塁打 知花(エ)
▽犠打 新里、平良(以上エ)、石川、嘉数(以上興)
▽盗塁 龍山(エ)
▽試合時間 2時間27分
【評】機動力が強みのエナジックは五回に龍山暖の二盗から1死二塁とし、知花泰空が先制適時二塁打を放って先制点を挙げた。安打数では上回った興南だが打線はつながらず、迎えた最終回で2死一、二塁の好機を得たが逆転とはならなかった。