カヌー・スプリントのパリ五輪代表選考を兼ねたアジア選手権は20日、東京都の海の森水上競技場で行われ、男子カナディアンシングル1000メートルの當銘孝仁(沖縄水産高―大正大出、アーネスト)が予選1組2位になり、決勝進出を決めた。予選で3位以上に入れば、準決勝を経ずに決勝に進める。21日に行われる決勝で2位以上になれば五輪出場枠を獲得し、五輪代表に決まる。
準決勝を経ずに決勝進出を決めた。予選1組で2位に付けたカナディアンシングル1000メートルの當銘孝仁は「強豪ぞろいの中で自分がどの位置にいるのか、様子を見ながら大きくこげた」と振り返った。「慌てずにリラックスして展開できた」。陸に上がると仲間らとグータッチを交わして笑顔を浮かべるなど、決勝へ確かな手応えを感じさせる内容だった。
予選1組の第3レーン。當銘は出だしで遅れるも、力強いパドル裁きで約250メートル付近で4艇が横並びでリードした。中間付近から當銘と昨年アジア大会覇者の頼冠傑が後続との差をじわじわ広げる。「今までのように中間部分で落とさなかったのが良かった」。最終盤に後続2艇に追い上げられたが、そのまま逃げ切った。
東京五輪以来となる同会場での国際大会。当時より技術は上達し、体の状態も良くなっているという。31歳は「規則正しい生活さえ送っていれば(年齢は)関係ない」と言い切り、積み上げてきたものへの自信をのぞかせた。
決勝は実力を上げているアジアの猛者たちとの戦いになる。アジア選手権に合わせるため、3月の日本代表選考記録会は体を完全に仕上げていなかった。約1カ月、大会会場で最終調整を積んできた。
海外の練習仲間は続々と五輪代表を決め、気持ちは高まっている。「最後の最後まで何が起こるか分からない。技術も気持ちも全て出し切れるかがポイントになる」。温存した力を決勝で爆発させる。
(古川峻)