県高校総合体育大会は27日、先行開催の5競技が各地で行われた。陸上は男子砲丸投げの外間勝結(与勝)が15メートル06で、女子やり投げの根間結花(那覇西)が45メートル01でそれぞれ2連覇した。
円盤投げ技術生かし15メートル台
男子砲丸投げの最終試技。外間勝結(与勝3年)がいつもの動作で砲丸を軽く上に投げ、指の感触を確かめる。助走して腕を突き出すと、この日一番の叫び声を挙げた。大台の15メートルラインを越え、客席から観声が沸いた。外間はこみ上げる喜びを隠しきれない。15メートル06とアナウンスされると、手をたたいて右拳を突き上げた。
本番前のアップから「指で押す感覚があり、ためができて瞬発力があった」と好調だった。171センチと大柄ではないが、助走の速さを生かして一挙に腕を突き上げる。1投目から唯一の14メートル台でトップを維持し、最終試技で「がっちりはまった」と自己ベストを更新した。
主戦場は円盤投げで、練習で砲丸はほとんど触らない。全国総体で円盤投げ2位だった父・勝さんの要望に応え、中学1年から陸上を始めた。2022年の全国総体で4位の姉・結希乃(国士舘大)とともに、円盤投げで全国一を目指してきた。
今大会はハンマー投げと円盤投げで優勝を逃し、「目標にしていた3冠を達成できなかった」と悔やむ。円盤投げの技術は他の投てきにも生きており、3種目での全国出場を目指す。南九州予選会で「まずは県のライバルに勝たないといけない」と巻き返しを誓う。
(古川峻)
「もうちょっと行けた」根間、重圧で動き硬く
女子やり投げの根間結花(那覇西3年)は唯一の40メートル台の45メートル01で2連覇した。大会記録と自己ベストを目指したが、重圧で動きが硬くなり、圧巻の勝利にも「もうちょっと行けた」と悔しさも残った。
アップの時は好調だったが、「本番では体が重たくなった」と助走のスピードが乗らず、満足いく結果は出せなかった。セカンドベストの45メートル01だった2投目は、助走の速さをやりに伝えることができた。
昨年の南九州予選会は7位になり、6位以上に与えられる全国切符を逃した。「めちゃめちゃ悔しかった。今年は絶対に優勝したい」と雪辱を誓う。
(古川峻)
憧れの舞台「全力出せた」 右半身まひ、左手で砲丸投げ 玉城亜希斗(真和志)
幼稚園時の脳梗塞により右半身まひの後遺症がある玉城亜希斗(真和志3年)が、最初で最後となる憧れの県総体に出場した。原点は、中学2年の体力測定のハンドボール投げで平均値を超え、「めちゃめちゃうれしかった」という記憶だ。「自分の体の可能性と限界を知りたかった」と大舞台に初挑戦した。
日常生活に支障はないが、後遺症により左手を中心に使い、歩く時は多少足を引きずっている。元々スポーツ好きで趣味は筋トレ。片手で懸垂できるようになることが目標だった。これまでさまざまなボールを投げては自分の筋力を確かめてきた。
進行した後遺症の手術を昨年受け、リハビリなどを経て、今年4月に「ずっとやりたかった」という陸上部に入った。玉城史仁監督は「誰よりも熱心に練習していた。これなら出せると判断した」と語る。
県総体は普段の練習よりも2キロ重い6キロの砲丸を使う。「想像以上にきつかった」と顔をゆがめながらも予選3本をファウルなしで投げ切った。5メートル44で「全力を出せた」と晴れ晴れとしていた。
進学して今後も競技を続けるつもりだ。「もっと強くなって砲丸を投げ続けたいい」と挑戦に終わりはない。
(古川峻)