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海外で試合「強くなりたい」 男子走り幅跳び・津波響樹 日本選手権、最後の挑戦<沖縄からパリへ>7


海外で試合「強くなりたい」 男子走り幅跳び・津波響樹 日本選手権、最後の挑戦<沖縄からパリへ>7 パリ五輪選考に関わる日本選手権男子走り幅跳びに出場する津波響樹。昨年の国民体育大会で8メートル07の好記録を出した=2023年10月、鹿児島県
この記事を書いた人 Avatar photo 古川 峻

 男子走り幅跳びの津波響樹(那覇西高―東洋大出、大塚製薬)がパリ五輪代表選考レース最後の日本選手権に挑む。2大会連続の五輪出場を目指し、これまでの選考大会で世界ランキングのポイントを積み上げてきたが、満足いくような結果は残せていない。「日本代表として世界で戦いたいと思って競技を続けてきた」。大一番で飛躍を期す。

 昨年6月の日本選手権は2回ファウルして記録は7メートル36にとどまり4回目の跳躍に臨めず、目標にしていた世界選手権の切符を逃した。シーズン終盤の国民体育大会(国民スポーツ大会)で8メートル07の跳躍で優勝したものの、「記録が出るのが遅すぎる。大きい大会で詰めが甘い」と悔いが残るシーズンになった。

 重圧がのしかかる大舞台での精神面の課題を克服するため、昨年7月から行動に移した。所属する大塚製薬に願い出て、海外の大会にも参戦するように。言葉も分からない中、ヨーロッパ複数カ国をまたいで数試合に出場した。「孤独だし不安がたくさんあったけど、全部が勉強だと思って行った。自分の弱さがよく分かった」と収穫は大きかった。

 8メートル台を飛ぶ実力はあるが、これまでの選考大会で超えたのは昨年10月の国スポのみ。ここ一番で力を発揮するのは至難の業だ。「世界でも大きい舞台になると急に跳べなくなる選手もいる。でも、強い人はどんなコンディションでもそこで力を発揮できている。強くなりたい」と語る。

 27日開幕の日本選手権で五輪参加の標準記録の8メートル27を突破し、3位以上に入ればパリ五輪代表に内定する。また、世界ランキング32位以上で代表入りの可能性が高まる。津波は21日時点で76位。厳しい位置にいるが、カテゴリーBクラスの日本選手権で好記録を残せば、より多くのポイントを得てランキングを上げることができる。

 自己ベストは8メートル23。この記録で東京五輪の参加標準記録を突破した。だが、五輪本番は7メートル61で決勝進出を逃しており、ここでも本来の力は出せなかった。「パリを逃したら次は4年後になる。プロとしてやっているからには結果を出したい」。次の日本選手権で最高のパフォーマンスを出し切れるか。

 (古川峻)


 つは・ひびき 1998年1月21日生まれ。豊見城市出身。伊良波中―那覇西高―東洋大出、大塚製薬所属。2019年のナイトゲームズ・イン福井で8メートル23をマーク。同年9月に県勢初の陸上世界選手権出場を果たした。21年東京五輪男子走り幅跳び代表。