県勢5人のパリ五輪が10日、アーティスティックスイミング(AS)を最後に全競技で終了した。16歳から39歳まで、最後の最高峰の舞台を味わい尽くしたり、次の五輪へつないだり、それぞれに懸ける思いがあった。6本の試技でメダルを逃した重量挙げの宮本昌典、最後の五輪を特別な地で迎えた自転車ロードレースの新城幸也、控えGKでチームメートのサポートに徹したサッカーの野澤大志ブランドン、途中出場で存在感を示した水球のGK棚村克行、初の五輪で悔し涙を流したASの比嘉もえ。それぞれの戦いを紹介する。
県勢初のサッカー五輪代表になったGK野澤大志ブランドン(宜野湾中―第一学院出、FC東京)は、正GK小久保玲央ブライアンに全試合で出場機会を譲った。だが常に万全の状態で臨み、試合中の声掛けや給水などチームに徹した。
今年4月のU―23アジア・カップと同様に、決勝トーナメント進出を確定させた予選3試合目での出場が期待されたが、控えだった。この日、野澤は「物足りない気持ちはあるが、難しい状況や苦しい時期は個人的にはいつまでも続く。瞬間瞬間、目の前のことを誠実に取り組むことを大切にしている」と話した。
FC東京で成長する21歳は「まだチームでは守護神としての立ち位置はつかみとってない。選手としてさらに安定感を増して成長していきたい」と語った。「オリンピックはないが、またこの世代で世界と戦いたい」とワールドカップ出場へ期待を持たせた。