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水球 王者セルビアに15―16 棚村、声かけでチーム鼓舞<熱戦パリ五輪 本紙・古川記者の現地リポート>


水球 王者セルビアに15―16 棚村、声かけでチーム鼓舞<熱戦パリ五輪 本紙・古川記者の現地リポート> 王者セルビアに最終盤で同点に追いつき喜ぶ棚村克行(前列右端)=28日、パリ市郊外のサンドニ
この記事を書いた人 Avatar photo 古川 峻

 最終第4クオーター残り1分53秒、14―15で1点を追う場面。攻撃権を得てから30秒以内にシュートを打たなければならないルールがある中、カウントクロックが切れる寸前に日本が得点を奪うと、会場に地鳴りが響いた。日本コールとともに観客が地面を激しく踏み鳴らした。3大会連続の五輪を控えで迎えたベテランGK棚村克行は、ベンチから飛び上がってガッツポーズ。「上からできるのは声掛けくらい。できることをやる」

 逆転に次ぐ逆転の展開で、リオと東京の両五輪で金メダルを取ったセルビアを追い詰めた。だが、最後の攻撃でシュートを決めることができず、試合は敗れた。棚村は「今までのオリンピックで一番悔しい試合だった。勝てる試合だった」と悔やんだ。

 棚村は、1点リードで前半を折り返しながら、4連続失点で逆転された苦しい時間帯に、ひときわ大きな声を出した。上からシステムを見て、積極的に前に出る「パスラインディフェンス」の用語を叫ぶ。流れを引き戻し、日本が追いついた。

 表情は暗くない。「コンディションは今までで一番いいし、いつでも出る準備はできている」と意欲は高い。予選を突破するには最低でも2勝しなければならない。「ヨーロッパの国にこの試合をした。メダルが近いことが分かった」と自信をのぞかせた。

 (古川峻)