1日の男子1次リーグで、B組の日本はハンガリーに10―17で屈し、3連敗を喫した。第1ピリオドから2―5と劣勢で、徐々に点差を広げられた。B組はスペインが3戦全勝の勝ち点9でリードし、オーストラリアとハンガリーが2勝1敗の同6で続いている。
前半が終わる前に監督に投入を告げられたGK棚村克行(ブルボンKZ)。前半が終わると少しうつむいた後にストレッチで肩を入れ、腕回しをしてプールに入った。すでに4―9でハンガリーにダブルスコア以上離されていた。「最初から出ていたらもっと競っていたと自分では思ってる。早く出してくれ」
1発目の相手シュートを頭で止めると、続くシュートは左手で阻止。会場に響き渡る声で「センター」などと後方から指示を出し、味方が呼応した。複数人で相手を囲んだり、引きつけたりしてカウンターにつなげた。
相手シュート17本中9本を止め、セーブ率は世界一の相手GKを超える53%。止めれば会場を盛り上げ、実況に「また棚村が止めた」とまで言わせた。
好守備から攻撃を組み立てたが、ことごとく得点を逃した。「決定的なところで止めた後に得点があれば日本は乗りやすいけど、攻撃につながらなかった」。流れは変わらなかった。
予選3連敗で、もう後がない。棚村は試合の総括を問われ、約25秒も言葉に詰まった。「僕のできる仕事は止めることしかない。チームというより自分のやることに集中したい」。次へと切り替えた。
(古川峻)