沖縄市の県総合運動公園蹴球場で1日に行われたラグビーの第104回全国高校大会県予選決勝は、名護が35―0でコザを退け、3年連続22度目の優勝をつかんだ。名護は前半立ち上がりから、コンタクトの強さを生かして、コザの攻撃の芽を次々に摘み取った。ラインアウトからのトライとコンバージョンキックが決まり、12―0で後半に折り返した。後半も名護の堅守がさえ、コザの猛攻をしのぎ無得点に抑えた。攻撃でも好機を逃すことなく、こぼれ球をインゴールに運ぶなど、計5トライで完封した。全国高校大会の組み合わせ抽選会は12月7日に行われる。
仲村渠 圧倒3トライ 攻守の中心、「花園」立役者に
体と体を激しくぶつけ合った伝統校同士の決勝戦は、名護が持ち味である体の強さを生かした「接点」でコザの機動力を封じ込めた。名護のFW仲村渠聖大(2年)はタックルを振り切るなどして3トライを決めて圧倒。花園出場を決める立役者となった。
前半3分。敵陣ゴール付近のラインアウトから密集ができると、後方からボールを受け取った仲村渠が先制トライを決めた。「いつも通りのプレーだった」と納得の表情。同20分には石嶺結翔(3年)がトライを決め、流れに乗った。
12―0で折り返してもなお、名護の勢いはとどまるところを知らない。後半6分。再び敵陣ゴール付近のラインアウトから密集を抜け出した仲村渠がトライ。同27分には「まずは(ボールを)拾うことを考えていた」と、ルーズボールをすかさずキャッチすると、パスフェイクで相手を翻弄(ほんろう)。そのまま走り込んでトライを決めた。
2年生ながら攻守の中心的存在である「ナンバーエイト」を背負う。「スローインでは真っすぐボールを投げ、スクラムではいち早く抜け出すことが自分の役割」と自負する。
花園ではシード校に勝利し、16強を目標に掲げる名護。体重81キロの仲村渠は「体をもっと大きくして、いいタックルをしたい」と飛躍を期した。
(渡真利優人)
「無我夢中」新里が独走 俊足生かしトライ
「無我夢中だった」と笑った名護の新里心惟(3年)。後半、元野球部の俊足を生かした鮮やかなトライを決め、チームをさらに勢いづけた。
後半12分、密集からのこぼれ球を新里がすかざすキャッチ。追いかけてきた複数人のコザの選手をステップワークでかわし、最後は独走状態でトライを決めた。「前方に誰もいなかった。(トライを決めて)気持ち良かった」と達成感をにじませた。
センターを務める新里。相手をタックルで封じ込め、攻撃では自ら突破口を開くことも多いポジションだ。花園では「タックルを武器に相手を圧倒する」と闘志を燃やした。
(渡真利優人)
宮城(名護)桑江(コザ) いとこ同士で対戦 ともに「6」のフランカー
ともに背番号「6」のフランカー。名護の宮城暁(3年)とコザの桑江良茉(同)はいとこ同士の対戦となった。
メンバーがそろい、7年ぶりの花園出場の期待が高まっていたコザ。「強い闘争心で挑んだ」(桑江)ものの、ラインアウトのミスでトライを奪われる場面もあり、優勝には届かなかった。
県ラグビー協会の宮城博会長を祖父に持ち、ラグビー一家で育った宮城は「(桑江と)一緒のポジションでプレーできて楽しかった」と振り返った。
試合後、桑江は「花園頑張って」と宮城に声を掛け、がっちりと握手を交わした。「花園でもラインアウトを起点にトライを決めてほしい」と期待を寄せた。宮城は「コザの分も背負って頑張る」と固く誓った。
(渡真利優人)