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コミュニティー作り 「誰かが」を「私が」に 真栄田若菜(IAm(アイアム)共同代表理事)<女性たち発・うちなー語らな>


コミュニティー作り 「誰かが」を「私が」に 真栄田若菜(IAm(アイアム)共同代表理事)<女性たち発・うちなー語らな>
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 近くでこんなコミュニティーがあったら良いのに。こんなことができたら良いのに。インターネットで検索しても見つからない。でも自分は何かを先導してやるタイプではないし、リーダータイプでもない。いつか誰かが始めてくれたらいいのに。発信してくれたら良いのに。そんな思いをしたことはないだろうか。私は、そんな思いを経験した一人だった。

 こんなコミュニティーを誰かが立ち上げてくれたら。こんな活動を誰かがしてくれたら。「誰かがきっと」というモヤモヤした気持ちを抱えながら、SNSなどで活発に発信している人の投稿を眺めているだけだった。まさか自分が何かを始めようとは想像していなかった。

 あるきっかけで、友人と沖縄女性のために何かできないか、という話になった。誰かがきっと、と待つよりも「自分たちで立ち上げよう」となり、IAmを立ち上げた。

 最初は何もかもが初めてで、手探りの状態で苦労することが多かった。近くのカフェやワーキングスペースなど、イベントに利用できる場所を探したり、慣れないインスタグラムを使ってイベント広報用の画像を作成したり、チラシを作って知人や友人にも拡散を手伝ってもらったり、試行錯誤しながら思いを少しずつ形にしていった。

 毎回参加者が来るのか不安になり、仕事との両立で時間に追われ、自分たちで立ち上げたとはいえ、苦労も多くある。しかし、毎回遠方から来てくれる方、ボランティアとして協力してくれる方、店舗にチラシを置いてくれる方、備品の貸し出しを手伝ってくれる方、小さな団体のコミュニティーだが、たくさんの方の温かい応援が支えとなり、継続する力となっている。

 IAmの活動を通して、自分や自分の大切な人が暮らす社会が、より住みやすく、より希望が持てる場所になるように、「自分で」始めた人に出会う機会が増えた。彼らが思いを込めて作ったコミュニティーは、小さいかもしれないが、人々の笑顔とポジティブで優しいエネルギーにあふれており、社会を変える、未来を変える力を感じることができる。

 一歩前へ進む勇気から生まれた小さな活動から、横のつながりができて、また別の場所で新しいコミュニティーが形成される。

 こんな団体があったら良いのに。こんなコミュニティーがあったら良いのに。同じ時間が過ぎていく日々の生活の中に、少しの勇気というスパイスを加えて、「誰かが」を「私が」に変えてみてはどうだろうか。失敗したっていい。きっとあなたの思いに賛同してくれる人がいるはず。