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【記者解説】問われる県民への説明 辺野古「勧告」期限、”黙考”続ける玉城知事


【記者解説】問われる県民への説明 辺野古「勧告」期限、”黙考”続ける玉城知事 多くの作業船が見える大浦湾。奥は埋め立て工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸=2023年9月26日午後、名護市瀬嵩(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー知事に出した設計変更申請の承認を求める「勧告」は、27日に期限を迎える。玉城知事は4日に最高裁で敗訴してからこれまでの間、承認か不承認かの判断を明らかにしていない。26日の県政与党代表者との会議でも「引き続き熟慮したい」と発言し、期限内に判断を示さない公算が大きい。今後も引き続き判断を示さなければ、代執行訴訟へと進むことになる。
 知事が承認か不承認かの判断を示さなければ、国交相は指示し、そして代執行訴訟の提訴へと進む見込みだ。
 行政として最高裁判決に従うべきだという原則論に加え、県庁内や玉城知事の支持層の中でさえも「代執行訴訟での勝ち目は限りなく薄い」(県幹部)との見方が大方を占める。
 一方、シングルイシューを問うた2019年の県民投票で、7割が埋め立てに反対した民意は極めて重い。県が承認することは、大浦湾を埋め立てるための設計変更申請を受け入れた形になり、新基地建設阻止を掲げて再選した玉城県政にとっては致命的なダメージとなりうる。
 承認か不承認を表明するか、あるいは対処方針を示さないまま結果的に代執行訴訟へ進むか、いずれの選択をするにせよ、知事は県民に対して判断理由の説明を尽くす必要がある。

(沖田有吾)

<今後の流れ>「勧告」から「指示」へ 不承認なら代執行訴訟

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が沖縄防衛局による軟弱地盤改良工事の設計変更申請を承認するよう玉城デニー知事に求めた勧告期限27日を迎えた。今後は勧告から「指示」に切り替わることになり、新たな期限まで検討が続く見込み。

辺野古の設計変更申請を巡る今後の流れ


 玉城知事が27日中に不承認を表明したり、判断を示さなかったりした場合、斉藤国交相は28日以降に承認するよう「指示」を出す。
それでも玉城知事が承認しなければ、早ければ10月上旬にも代執行訴訟を提起する見通し。
勧告への対応について県関係者は「期限の日までしっかり考えることになるのではいか」と話している。勧告までになんらかの対応が示されなくても、指示の期限まで検討するとの見方を示した。

 (沖田有吾)