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<争点まとめ>新基地の「公益」どう判断 沖縄県「反対の民意考慮すべき」、国「普天間の固定化回避が課題」 国と県、3要件で対立 代執行訴訟きょう初弁論


<争点まとめ>新基地の「公益」どう判断 沖縄県「反対の民意考慮すべき」、国「普天間の固定化回避が課題」 国と県、3要件で対立 代執行訴訟きょう初弁論 国からの代執行訴訟の提起について、「応訴する」と発表する玉城デニー知事(左)=11日、県庁(又吉康秀撮影)
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 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認を巡る代執行訴訟の第1回口頭弁論が30日に開かれる。国と県の主張は代執行の3要件に関する争点で真っ向から対立する。国は第1回口頭弁論での即日結審を求めており、福岡高裁那覇支部が慎重な審理を続けるか否かの判断も注目される。

 代執行に関する地方自治法は、手続きの要件として(1)法令規定や大臣の処分に対し違反、管理・執行に怠りがある(2)他の方法で是正が困難(3)放置すれば著しく公益を害することが明らか―を定めている。

 国は(1)について、県が承認しないことが公有水面埋立法の規定に反して違法などと主張する。県に承認を求めた是正の指示を適法とした9月の最高裁判決も、県の事務施行が法令規定違反と判示したとする。一方、県は判決が県を法令規定違反と認定していないとして、国の主張で承認の命令は不可能と反論する。

 (2)で国は、県が是正の指示に応じず、指示が適法と判断した判決が確定しても承認していないため、他の方法で是正できないと訴える。県は、問題解決に向けた対話を国に求め続けるも無視されたと主張。代執行手続きは最終手段であり、十分な対話の場を設けないままの手続きは違法だと指摘している。

 国は(3)について、県の対応を放置することで普天間飛行場の固定化回避という公益上の課題が達成されないなどと主張する。これに対し県は、沖縄の歴史的経緯などから新基地建設に反対する県民の民意が公益として考慮されるべきだとの立場を示している。(金良孝矢)