琉球新報朝刊 代執行訴訟で争われる辺野古新基地建設の設計変更申請は、沖縄防衛局が2020年4月に大浦湾側の軟弱地盤改良工事に向けて県に申請した。県は県民などに意見を募る公告・縦覧を実施したほか、環境保護への配慮や軟弱地盤の調査方法など、土木・環境の視点から4度にわたる質問を出すなど審査を進めた後、21年11月に不承認と判断した。
沖縄防衛局の審査請求を受けた国土交通大臣は、22年4月、不承認処分を取り消す裁決をし、同日に承認するよう勧告を出した。識者からは、国の「身内」による裁決で公平性や中立性が担保されていないなどとの指摘がある。
知事は勧告に従わず、その後国交相からの指示を不服として国地方係争処理委員会に審査を申し出たが、同委員会が指示は違法ではないと結論を出したため、司法の場で争われることになった。
福岡高裁那覇支部は23年3月、国交相の裁決、是正の指示はいずれも違法だとする知事の請求を棄却する判決を言い渡したが、是正の指示についての県の不承認処分について具体的な中身の判断を示した。
しかし、23年9月4日、最高裁は是正の指示を巡る判決で、不承認についての具体的な判断を示さず、県の上告を棄却した。
国交相は9月19日、最高裁判決で県が敗訴したことを受け、設計変更申請を承認するよう「勧告」を、同28日には承認をするよう「指示」をした。知事が指示の期限の10月4日、「期限内に承認を行うことは困難」と回答すると、同5日に代執行訴訟を提起した。 （沖田有吾）
