【東京】琉球国が1855年にフランスと交わした琉仏修好条約について、琉球国がフランス側に渡した国書(外交文書)4通と、条約の原案とみられる文書2枚が見つかったことが16日までに分かった。19、20日に全国の古書店が参加する東京都内のオークションに出品される。
主催する東京古典会の関係者によると、国書に残された「琉球国印」や内容などから原本の可能性が高いという。文書はフランス国内で保存されていたとみられ、現存が確認されるのは初めて。専門家は「琉球国が独自に外交交渉をしていた貴重な記録で、歴史的な価値は高い」としている。
国書の原本とみられる文書は、3隻の艦隊を率いて琉球を訪れたフランス側代表のゲラン提督に、琉球国代表が宛てた1855年10月5日、7日、8日付の3通と、フランスの皇帝ナポレオン3世に宛てた同10日付の1通の計4通。
東京古典会の関係者によると、国書はいずれもゲラン提督に手渡され、フランスが琉球国に「領事館の設置」などを求めたことについて、条約の内容の協議や譲歩を求めている。4通いずれにも、琉球国の正式文書であることを示す「琉球国印」の印影が確認できる。
一方、条約の原案とみられる文書は2枚で、フランス側が作成した条文を漢語に翻訳した文書の下書きと、原本。これを清書したものが琉球国に示されたとみられる。
琉仏修好条約を巡る交渉は、1855年10月1日に始まり、15日に正式調印された。
文書は17、18日に東京古書会館(東京都千代田区神田小川町3-22)で一般公開する。詳しくは電話03(3293)0161。(安里洋輔)