<金口木舌>便利な時代の交流の形


<金口木舌>便利な時代の交流の形
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 携帯電話やメール、無料通信アプリや交流サイトに至るまで、誰かと交流しようと思えばさまざまな手段がある。時間や手間をかけず、離れた場所にいる相手とやりとりできる

▼コロナ下では遠隔の作業が推奨された。会議はパソコン画面を通じて行い、職場に足を運ばなくても仕事ができるようになった。便利になった一方で、人との距離が遠くなったように思う
▼通信手段が今ほど多様化していなかった頃、顔と顔を合わせた交流が生活の随所にあった。友人の家にお邪魔したり、近所の売店で立ち話をしたり。銭湯は地域の社交場の一つだった
▼家庭風呂の普及や後継者不足などで、近年は多くの銭湯が閉店する。県内に残る最後の銭湯は沖縄市の「中乃湯」。店主の仲村シゲさんと、愛知県出身の鈴木花奈さんが力を合わせて営業を続ける
▼きょうは「いい風呂の日」。大人も子どもも一つの湯船で肩を並べ、誰もが笑顔で言葉を交わせる銭湯は、いつの時代も必要だ。便利な世の中になっても、人と触れあう大切さを忘れてはいけない。