<金口木舌>ヤギ肉を食べて県系人に感謝


<金口木舌>ヤギ肉を食べて県系人に感謝
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 戦後、荒廃した沖縄にハワイから豚550頭が贈られたのは有名な話。だが、海外の県系人がヤギも贈っていたことはあまり知られていない

▼沖縄戦に米兵として従軍したハワイ県系2世の比嘉太郎は邦字紙ハワイタイムスに沖縄の惨状について寄稿し、「フール(豚小屋)に豚なし」と伝えた。実は同じくヒージャーヤー(ヤギ小屋)に「ヒージャーは1匹もいない」とも報告した
▼豚が贈られた翌年の1949年、約800頭のヤギが沖縄に届いた。贈った方はミルクで栄養を付けてほしいとの思いだったようだが「ヒージャー汁にして食べてしまった」との逸話が残る。豚は繁殖して経済を支え、ヤギは復興のエネルギーに変わったということか
▼沖縄独自の食文化を語る際、豚もヤギも欠かせない存在だ。しかし、豚肉が多くの人に好まれる一方、味や香りの癖が強いヤギ肉は県民でも好き嫌いが分かれる
▼きょうは語呂合わせで「いい肉の日」。戦後復興を支え、沖縄の食文化を守った多くの海外県系人に感謝しつつ、癖の強いヤギ肉もご賞味あれ。