都道府県庁がある47市区の62%に当たる29市は、低所得世帯向け7万円給付の年内開始を困難と見込んでいることが9日、共同通信の調査で分かった。岸田文雄首相は年内を目指すと公言したが、国の補正予算成立が11月下旬となり、準備が追い付いていない。開始できる見通しは17%の8市区だけ。物価高対策の一つで、政権浮揚効果も狙った給付事業は空回りの様相だ。
21%の10市は「現時点では答えられない」としており、年内に開始できない自治体は増える可能性がある。47市区以外の全国自治体でも開始時期がばらつきそうだ。
調査では、那覇市や京都市、高松市など29市が「年内に開始できない見通し」と答えた。那覇市は24年1月開始の見通し。7万円給付の財源約1兆円を盛った国の2023年度補正予算は11月29日に成立。各自治体は以降、議会手続きや申請書類の印刷・発送などを進めることになり、大分市は「スケジュールが非常に短い」とした。
給付事業は、いつ時点の住民を対象にするかが重要となる。国は11月下旬になって、12月1日時点の住民データに基づき支給対象世帯を抽出するよう自治体側に連絡。福島市は「国から必要な情報が少なく、時期も遅い」と指摘した。29市が給付を始める時期は14市が来年1月、11市が2月以降、4市は未定だった。
宇都宮市や金沢市など8市区は「年内に開始できる見通し」と回答した。広島市は、国が物価高対策として3月に決めた3万円給付の予算が残っており「先行して作業に着手した」と説明した。
(共同通信)