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沖縄を「東洋のジュネーブ」に 地域外交で目指す姿とは…専門家会議が玉城知事への提言案まとめる


沖縄を「東洋のジュネーブ」に 地域外交で目指す姿とは…専門家会議が玉城知事への提言案まとめる 地域外交に関する万国津梁会議で提言書について話し合う委員ら=21日、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄県が取り組む地域外交について有識者が話し合う「地域外交に関する万国津梁会議」(委員長・君島東彦立命館大教授)の最終会合が21日、県庁で開かれ、玉城デニー知事への提言案を大筋でまとめた。沖縄を取り巻く現状として米中対立が激化し「戦争状態に突入すると、沖縄が戦場となることも予想される」と強い危機感を示した。同時に「アジア・太平洋地域の平和構築に資する国際平和創造拠点」を目指し「東洋のジュネーブ」(平和の緩衝地帯)を形成すべきだとした。

 提言書は来月1月18日に手渡す。県は提言を踏まえ、本年度内に地域外交基本方針を策定する見通しだ。

 地域外交で目指す姿として「世界とつながり、時代を切り開く『強くしなやかな自立型経済』」の形成と「世界の島しょ地域等との国際協力活動と国際的課題に貢献する地域」づくりを掲げた。

 また、主要プロジェクトとして「平和」「経済」「国際協力・貢献」「人材育成」「分野共通」の5分野ごとに提案した。

 平和関連では、世界で唯一の戦争被爆地である広島、長崎の知事、市長、平和博物館の館長や学生、研究者が集まって意見交換や提言を行う「トライラテラル平和会議」の開催を盛り込んだ。

 アジア太平洋地域において、国際機関が集積し国際協調の場として機能している「スイスのジュネーブのような役割を果たせる可能性を有している」と指摘。地域外交の推進で沖縄がその可能性を高めることができると記述した。また、地域外交に安定的に取り組んでもらう観点から、県政交代があっても「継続性、一貫性をもって遂行される必要がある」との趣旨の文言も盛り込む方向となった。

(知念征尚)