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仲井真元知事インタビュー、普天間の未返還「全く想像できず」 辺野古「承認」から10年 


仲井真元知事インタビュー、普天間の未返還「全く想像できず」 辺野古「承認」から10年  辺野古沿岸部の埋め立て承認から10年となり、インタビューに答える仲井真弘多元知事
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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、2013年に辺野古沿岸部の埋め立てを承認した仲井真弘多元知事(84)が、承認から10年となった27日、共同通信の単独インタビューに応じた。普天間返還が実現していない現状を「全く予想できなかった」と述懐。自身も県外移設の可能性を追求したが、政府方針の転換は困難で断念したとして「承認は私なりに正しい結論だったと思っている」とした。

 仲井真氏は埋め立て承認を前に、政府に対して5年以内の普天間運用停止を要求。当時の安倍晋三首相(故人)が努力する意向を示したことから、承認した経緯がある。現在も普天間の運用は続いており、仲井真氏は「国はちょっと時間がかかり過ぎだ」と苦言を呈した。

 安倍元首相は13年、沖縄振興費を21年度まで3千億円台確保するとの方針を表明。その直後に埋め立てを承認したことに関し、仲井真氏は「『取引だ』と言われるのは心外だ」と強調。本土との経済格差を抱える中、地域振興には相応の予算が必要になるとの認識を示した。

 辺野古移設計画を巡っては、反対する玉城デニー知事が軟弱地盤改良工事の設計変更を承認せず法廷闘争に突入。9月の最高裁判決を経て、今月28日には国が県に代わって承認する代執行に踏み切る事態となっている。

 国と県の対話も途絶えており、仲井真氏は「主張すべきは主張しても、どこかで『手打ち』しなければいけない。訴訟合戦では基地問題は解決しない」と言明。「国も県も知恵を絞るしかない」とも述べ、基地負担軽減に向けて協力するよう要求した。

 一方、在日米軍専用施設の7割が集中する現状には「『半分でも県外に移してほしい』との思いは保守・革新を問わず県民の願いだ。(振興費をもらう)沖縄は甘えていると言われるが、甘えているのは本土の方ではないか」と語気を強めた。

(共同通信)