羽田空港C滑走路で海上保安庁の航空機と着陸直後の日航機が衝突、炎上し海保機の乗員5人が死亡した事故で、海保機が滑走路に進入して約40秒にわたって停止していたとみられることが4日、関係者への取材で分かった。一定時間とどまっていたのに日航機や管制官が海保機の存在に気付いていなかったとみられ、運輸安全委員会や警視庁が経緯を詳しく調べる。
海保機の男性機長(39)が事故当日に「いきなり(機体の)後ろが燃えた」と警視庁に説明していたことも捜査関係者への取材で判明。「(何が起きたのか)分からない」とも話していた。
警視庁は4日、滑走路の現場検証を終了。日航機と海保機の検証は続ける。海保は滑走路から海保機を撤去する作業に着手した。安全委は日航の乗務員への聞き取りを始めた。
日航によると、日航機のパイロットは「衝突直前に一瞬何かが見えた。何かがすっと通るような違和感を覚え、直後に衝撃があった」とする一方で「海保機は視認できなかった」と説明。国土交通省が公表した交信記録に管制官が着陸やり直しなどを日航機に指示する文言はなかった。
国交省関係者は「着陸を許可した滑走路上に別の航空機がいると把握したら管制官は一般的に何らかの対応を試みる」としている。
国交省は3日に交信記録を公表した際に「現時点で管制官の指示は適切と考えている」との見解を示した。国交省によると、管制官は日航機の着陸を許可し、海保機には滑走路への進入を許可していなかった。海保によると、海保機の機長は「許可を得た上で進入した」と説明した。
(共同通信)