<全文・知事コメント>「丁寧な説明」とは到底真逆 きわめて乱暴で粗雑 大浦湾側の工事着手


<全文・知事コメント>「丁寧な説明」とは到底真逆 きわめて乱暴で粗雑 大浦湾側の工事着手 大浦湾側海域で工事に着手したことを受け、会見を開く玉城デニー知事=10日午後4時半、県庁(又吉康秀撮影)
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 本日正午頃、沖縄防衛局が大浦湾側の工事に着手したことについては、承知しております。
 2013年の埋立承認書の留意事項には、工事の施工についての協議、工事中の環境保全対策等についての協議が定められており、沖縄防衛局もこれに基づいて昨年9月に協議書を提出しております。沖縄県は、昨年12月に国土交通大臣によって変更承認申請が承認されたことから、これらの協議を開始することとしましたが、協議が未だ調っていない中で、本日、工事が着手されたことについては、誠に遺憾であります。

 本日、林官房長官は記者会見で「地元の皆さまへの丁寧な説明」を行うと発言され、また、木原防衛大臣も、先月の記者会見で「地元の皆様方に丁寧な説明」を行うと発言されておりますが、私はこれまで、辺野古新基地建設問題を含む基地問題について、一度たりとも、林官房長官とも、木原防衛大臣とも面会する機会をいただいておりません。

 沖縄県がこれまで再三求めてきた真摯な対話に応じることなく、一方的な文書の送付が重ねられるばかりで、知事の権限を奪う代執行に至り、さらに本日、工事の着手が強行されたことは、「丁寧な説明」とは到底真逆の、きわめて乱暴で粗雑な対応がなされたものと、申し上げざるを得ません。

 沖縄県は、昨年12月20日の高裁判決に不服があるとして、同月27日に上告受理申立てを行ったところであり、今後、最高裁判所において高裁判決の問題点を明らかにし、多くの県民の願いをしっかりと訴えてまいります。

 政府においては、必要性・合理性のない埋立工事の強行がもたらしている甚大な問題を直視した上で、沖縄の苦難の歴史に一層の苦難を加える辺野古新基地建設を直ちに中止し、問題解決に向け、沖縄県との真摯な対話に応じていただくよう求めます。

 2024年1月10日
沖縄県知事 玉城デニー