<金口木舌>「断水経験」今こそ生かそう


社会
<金口木舌>「断水経験」今こそ生かそう
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 プロ野球でイチローさんが史上初の200本安打を達成し、子役だった安達祐実さんが「同情するならカネをくれ」のせりふで一世を風靡した1994年、沖縄本島では現時点で最後の給水制限(断水)があった

▼当時、沖縄渇水対策連絡協議会は3%(1人当たり1日バケツ1杯)の節水を訴えたが、達成された節水量は1%にとどまった
▼人工透析などで大量の水を使う病院は苦慮し、夜間に仕込みがある豆腐屋や弁当屋が打撃を受けた。屋上に貯水タンクがある家庭とない家庭の「断水格差」も生まれた。離島は本島より長く水が止まった。弱い方へしわ寄せがいった
▼沖縄は河川の流域面積が小さく、降った雨はすぐに海に流れ出す。最後の断水から30年。水を使う人口は増え、水の確保に悩んできた
▼今年も少雨で断水の危機が迫る。水源は限られ、導水管の工事で大ごとになるほど沖縄の水事情は危うい。恵みの雨を待つだけでは事態は好転しない。イチローさんや安達さんに懐かしさを覚える「断水経験世代」が中心となり、節水に取り組もう。