<金口木舌>不穏な空気の解消策


社会
<金口木舌>不穏な空気の解消策
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 社会的なつながりを築くネット上の交流の場に不穏な空気が漂う時がある。1日に発生した能登半島地震でも、そんな場面があった。被災地に「盗賊団が集結」とデマが流れた

▼1923年の関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマで虐殺が起きた。2016年の熊本地震でも動物園のライオンが逃げ出したというデマが拡散した。変わらぬ所業に暗澹(あんたん)とする
▼意外な話を聞いた。兵庫県立大の木村玲欧(れお)教授によると「大災害時にデマは必ず発生する」という。災害であいまいな状況にあると、人は不安な感情を解消したくなり、周囲に情報を伝える欲求に駆られるそう
▼良かれと思って流した情報も結局はデマだった例も。問題は悪意を込めたデマ拡散や、他者への攻撃意図があるねつ造情報の類。最近では再生数で稼ぎを狙うデマもある
▼防ぎようはある。「根拠不明情報の拡散に加担しない」と個人が自覚すること。併せてメディアなどによる速やかな情報検証と打ち消しが必要だそう。情報は社会の生命線。人の命にも関わる。