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琉球古典乗せ京舞 井上八千代 人間国宝の芸披露


琉球古典乗せ京舞 井上八千代 人間国宝の芸披露 琉球古典音楽に振り付けた「暁」を披露した人間国宝の井上八千代=12月24日、浦添市の国立劇場おきなわ
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 日本舞踊協会による「日本舞踊キャラバン沖縄公演」が12月24日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。吾妻流の二代目吾妻徳穂による「八月十五夜の茶屋」や、琉球古典音楽に振り付けた舞踊「暁(あかつぃち)」を京舞井上流五世家元で人間国宝の井上八千代が披露するなど、日本舞踊界の第一線で活躍する舞踊家や重鎮による特別感ある公演だった。夜の部を取材した。

 幕開けは、西川流の西川箕乃助振付の長唄「君が代松竹梅」を若柳賀寿乃(かずの)、尾上貴保(おのえきほ)、西川楚静(そじょう)、西川松帆(しょうほ)が舞った。華やかさと雅さが際立つ舞だった。

夜の部で「君が代松竹梅」を舞う(左から)西川松帆、尾上貴保、若柳賀寿乃、西川楚静

 演目「暁」は、琉球古典音楽「暁節」などの歌詞を井上八千代がアレンジし、京舞で舞った。愛し合う2人が夜明けには離れ離れになる。ほの暗い舞台にたたずむ井上のしっとりとした舞や視線、後ろ姿からも切ない情景が浮かんだ。日本語の歌詞に琉球古典音楽のメロディー。仲村渠達也の歌三線で絶妙に合わさり、幻のような空間を演出した。

 フィナーレは、西川箕乃助ら日本舞踊家5人が流派を超えて結成した「五耀會(ごようかい)」による「七福神船出勝鬨(しちふくじんふなでのかちどき)」。七福神が弁財天と布袋を待ちながら、それぞれの話を展開する。にぎやかで楽しい踊りに会場も大盛り上がりだった。

 昼の部では「君が代松竹梅」を西川帆鈴(ほすず)、藤間勘穂紫乃(かんほしの)、西川壱瑚(いちこ)、若柳美津留(みつる)が踊った。「八月十五夜の茶屋」では仲村逸夫が地謡を務めた。

 (田吹遥子)