<金口木舌>「浦島太郎」になりやすい時代に


社会
<金口木舌>「浦島太郎」になりやすい時代に
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 久しぶりに訪れた場所で人や景色が変わっていると、昔話と重ね合わせて「浦島太郎のよう」と例えることがある。変化の激しい昨今は人も街並みもどんどん新しくなる

▼以前、本島北部を訪れ「浦島太郎」の感覚になった。全国チェーンの飲食店が増え、約10年前に勤務していた頃と違う街になっていた。地域がにぎわう中で、足しげく通った個人経営の飲食店が閉店していた
▼東京商工リサーチ沖縄支店によると、2023年の県内の休廃業・解散企業件数は調査開始以降で最多だった。後継者不在や人手不足などが背景にあるという。業種は飲食や建設などさまざまだ
▼飲食店が練り上げてきたレシピも、小さな工場が磨き上げた技術も、休業や廃業で失われる可能性ある。世界に誇れる味や技術もあるだろう。消えてなくなるのはもったいない
▼沖縄には魅力あふれる企業が多い。経営の持続のために必要な支援を、行政や経済界が力を合わせ続けてほしい。「浦島太郎」の感覚に陥りやすい時代にあっても、沖縄の宝を未来に残す努力は必要だ。