<金口木舌>顔が写せない悩み


社会
<金口木舌>顔が写せない悩み
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 スポーツ選手と小学生の交流会があると取材依頼を受けて出向いたところ、困惑する事態に直面した。掲載を望まない子もいるという。結局、児童は全員、顔が分からないように撮影するよう条件が付いた

▼プライバシーや個別事情から配慮が必要な事例はある。多くの場合、学校や主催者が事前に聞き取り調査し、掲載不可な子を記者に教えてくれる。こちらもそれを尊重してきた
▼「わったーわらびんちゃー」の学校生活を知りたい地域の人や保護者も多い。地域のハッピーニュースを届けるのも報道の役割だ。「載せて」という子もいる。プライバシーとの兼ね合いは悩みどころ
▼深刻な状況もある。地域の社会福祉協議会も個人情報へのアクセスが厳しくなり、要援護者の状況把握が難しくなっていると耳にする。社協が不動産業界などと協定を締結して情報を寄せてもらう事例もあるという。苦肉の策だろう
▼個人や社会の自由、情報の共有とプライバシー保護が調和した社会が心地よいはず。バランスをどう取るか、自分にも問い掛け続けたい。