＜金口木舌＞深刻なバスの2024年問題

　「2024年問題」の荒波が一足先に押し寄せてきたようだ。相次ぐ減便や最終便の繰り上げ。沖縄本島の路線バスは規模を縮小している

▼バス業界は慢性的な運転手不足に加え、働き方改革の一環で今年4月から始まる運転手の労働時間規制への対応に追われる。この「2024年問題」は全国各地の路線バスの存亡に関わる
▼運転手らは負の連鎖を心配する。減便や労働時間減は手取りの目減りに直結する。給与が低くては働けない。担い手不足がより深刻化して、さらなる減便につながるというのだ
▼働きやすい職場をつくるはずの働き方改革に頭を痛めるバス会社。運転手の一人は「制度を額面通りに評価できない」と明かす。悪循環を断ち、運転手と路線の両方を守る策を探さねば
▼他県ではAI（人工知能）を使った予約可能なオンデマンド型交通システムの実験が進む。運転手確保へ選択制の完全週休3日制を導入した会社もある。「2024年問題」に挑むバス会社の対応は働き方改革の試金石にもなる。利用者も無関心ではいられない。