<金口木舌>戦争餅


社会
<金口木舌>戦争餅
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 世相を風刺する狂歌に「天下餅」がある。こんな内容だ。「織田がつき、羽柴がこねし天下餅、すわりしままに食うは徳川」。織田信長や羽柴(豊臣)秀吉の苦労もなく天下統一をなした徳川家康への皮肉とされる

▼国会内の集会で社民党の福島瑞穂党首が替え歌を紹介した。題して「戦争餅」。小説家の中島京子さんが発信したオリジナルにアレンジを加えた。「安倍がつき、菅がこねし戦争餅、何も考えずに食うは岸田」
▼安倍晋三氏や菅義偉氏の政治路線にちゃっかり便乗した岸田文雄首相を当てこすった。安保3文書の閣議決定に始まり、憲法改正を視野に入れる。前任2人がこさえた「餅」を食らうか
▼2015年の岸田派研修会で「当面、憲法9条自体は改正することを考えない」とまで言った人だ。それが今年1月の施政方針ではこうだ。「自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはない」
▼就任当初、国民がわずかでも抱いた期待も裏腹。自分を見失い、食感も麻痺(まひ)したか。「何も考えずに」食べた末、腹をこわすのは国民だ。