<金口木舌>水不足の責任


社会
<金口木舌>水不足の責任
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 中南部の水源である比謝川水系の有機フッ素化合物PFASによる汚染が明らかになったのが2016年。翌年には汚染源と指摘される嘉手納基地に沖縄防衛局が立ち入りし、水質調査を計画した

▼だが排他的管理権を持つ米軍が基地内での水採取を認めず、調査は骨抜きに。事情を公にできない日本政府は、採水予定地の水量が少なかったために調査を見送ったと説明した
▼当時、この調査の報告書に目を通した。実際は基地内の川は調査員の膝ほどの水深はあった。水はたくさん流れていたのだ。比謝川水系は、県民約45万人の水源となってきた。だが汚染のせいで県企業局は水が「ある」のに取水を止めることになった
▼その結果が今。30年ぶりの断水危機である。解決策は一つ。基地内の汚染を浄化し、川の水をいつでも使えるようにすることだ
▼米本国では汚染者が浄化責任を負う。米軍が調査に応じるまで、県はPFASをろ過せずに比謝川の水を基地内に供給しては、と言いたくなる。もちろん嫌みだが、責任を自覚してもらわねば。