<金口木舌>試験つくる側も山を控えたり


社会
<金口木舌>試験つくる側も山を控えたり
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 大試験山の如くに控えたり―。明治生まれの俳人、高浜虚子の時代も、進学を目指す若者の前に試験が立ちはだかっていた。入試は古くから春の風物詩。この句の季語は「大試験」だ

▼県立高校の合格発表が14日にあった。推薦を除く一般入学の合格者は1万89人。それぞれ努力で「大試験」という山の頂で、眼前に広がる未来という景色を見ただろう
▼今回の入試は一般入学の定員1万2029人に対し志願者は1万1152人、倍率は0・93倍だった。志願者が定員を下回る「全入時代」となって久しいが、それでも不合格者は出る
▼入試制度は都道府県で様相が異なり、「定員内不合格」を全く出さない方針のところもある。海外に目を向ければ、経済学の理論を生かし、受験者に志望校の順位付けをしてもらって可能な限り希望をかなえる制度もある
▼1960年代に60%ほどだった高校進学率は、今や99%。高校入試は誰もが挑む山になった。次回から沖縄の入試制度は大幅に変わる。時代に合った制度になるか。制度をつくる側も試される。