<金口木舌>「翔んで沖縄」


社会
<金口木舌>「翔んで沖縄」
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 「翔んで埼玉」という映画がある。主演は沖縄にゆかりのある俳優2人というのが面白い。東京都民に迫害された埼玉県民が「全国の埼玉化」を進める物語だ

▼川崎沖縄県人会が2014年に開いたシンポの記録を読み、映画を思い出した。早稲田大学名誉教授の勝方=稲福恵子さんが興味深い話をしていた。県人会の歴史を振り返り、3区分した
▼第1期は労働者として東京や横浜市に住み、ヤマトンチュになる時代。第2期は1980年代後半から90年代。ウチナーンチュを取り戻し、日本社会も単一民族ではなく、多文化性に気付いた時期という
▼第3期は向こう10年への提起か。「ヤマトを沖縄化することに尽きる。文化の力で外交をしてきた沖縄の知恵を発揮する」とした。戦前を彷彿(ほうふつ)とさせる時代への抵抗である
▼自衛隊配備という急激な「ヤマト化」によって沖縄は「新しい戦前」と直面する。近隣国との意地の張り合いにならぬようソフトパワーを磨いてきた県だ。ここは映画にならい、「全国の沖縄化」を進める方が平和には近くはないか。