<金口木舌>雨天の春もある


社会
<金口木舌>雨天の春もある
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 いよいよ暖かくなり、春を感じるこの頃。3月は卒業式の取材に行くことも多く、若者や子どもたちが目を輝かせて人生の次のステージに旅立つ瞬間に立ち会える

▼この時期は苦しい気持ちを抱える人も増えるそうだ。厚生労働省の統計によると、3月は離婚件数が他の月の平均に比べて3割ほど高い。本人たちの転勤や転職、子どもの進級や卒業を節目に決断する人も多いのだろう
▼離婚自体、人生設計を左右し、大きな精神的負荷となる。中には親の離婚に伴い転校する子も。悲しさを抱えてこの春を迎える子やその親たちにも、温かな言葉をかけられるといい
▼人事異動も多く「心機一転」といきたい時期。だが自身の健康や家族の介護の都合など、年度末の節目にやむなく職場を離れる人もいるだろう。出会いと別れの季節、その背景はさまざま。「春」はそのことを可視化させる
▼まずは希望を胸に船出する人たちの前途を祝したい。同時にこの時期苦しい状況にある人たちを支え、暮らしの立て直しを応援できる優しい社会でもありたい。