<金口木舌>断水経験世代


社会
<金口木舌>断水経験世代
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 名護市天仁屋の「ウッカー」と呼ばれる川の真ん中に大きな石が鎮座する。幅82センチ、高さは約40センチ。この石を地域の人々は拝み、大切に守ってきた

▼市の有形文化財にも指定された石の名は「天仁屋のウッカーヌビジュル」。土手側にあったが、一晩で川の真ん中に移動したと伝わる。人々は日照りが続くと石に向かって雨乞いをしてきた
▼雨乞いの風習はかつて、沖縄の各地にあった。宮古島のクイチャー踊り、首里には琉球国王が降雨を祈願した「雨乞嶽」もある。それほど水資源は乏しかった
▼今年の少雨傾向も困りもの。赤茶けたダムの岩肌を見ると神頼みもしたくなる。沖縄渇水対策連絡協議会は6月に貯水率35%以下になると、夜間8時間の断水に踏み切ると発表した。断水は30年ぶりである
▼沖縄の日本復帰後の給水制限日数は延べ1130日。30代後半以上は断水の記憶が残っているはず。前線の影響で先週末から大雨が降ったが、ダム貯水率は45.9%(1日現在)。「断水経験世代」として何ができるか。備えるべきことを考えてみる。