琉球舞踊の「安座間本流大北満之会」の免許授与記念公演「新たな出発 風薫る大北(うふにし)」が3月31日、浦添市の国立劇場おきなわであった。2019年に家元に認定された新垣満子を筆頭に、新会主や新師範、新教師を含め会員ら約60人が出演。安座間本流に伝わる技芸を継承し、地元読谷の地からの発展を誓う舞を披露した。
第1部は、新垣家元認定後に新会主、新師範、新教師の免許を授与された8人を中心に技芸を披露した。 幕開けの「かぎやで風」に続く「作田」は新垣家元と、安座間本流大北喜羽の会の神谷みつ子会主、大北清ら福之会の木村清美会主が踊った。打ち掛けを羽織りうちわをかざす所作が涼やかで、趣も感じられた。「本嘉手久」は新師範と新教師6人で舞った。花笠を手にした群舞は、うっとりとする美しさがあった。 第2部の幕開け「祈り」は、ほの暗い舞台に白い衣装に身を包んだ3人の踊り手が現れた。首里王府に献上する水をくむ「お水取り」のような神聖な雰囲気で祈りを込めて舞った。
一転、にぎやかに始まった「国頭さばくい」は、首里城の再建や世界平和の思いを込め、力強く踊った。続く「四つ竹」「若衆踊」は首里城の正門を背景に舞を披露。「祈り」から一連の物語性を感じた。
創作舞踊「首里節」は、安座間本流初代家元の安座間澄子が師事した金武良章が振り付けた。初代家元が大事にしていたという踊りを新垣家元の独舞で披露した。「首里節」は、首里士族の女性がいとしい人へ募る思いを歌う。紺色の日傘を扱う所作につややかさと気品を感じた。
空手舞踊「武の舞」は初代家元が、小林流を基に振り付けた。空手の型を「江左節」に乗せて踊る。舞台での披露は24~25年ぶり。力強さと軽やかさが同居する舞に引きつけられた。
フィナーレは出演者総出で「村栄え」。「マミドーマ」「稲しり」「黒島口説」と、村の人たちが楽しく働く様子を生き生きとした踊りで表現した。読谷の古称である「大北」の名を冠にした大北満之会。安座間本流の技芸と地域に根差した芸能を存分に発揮した会となった。
(田吹遥子)