<金口木舌>絵本の中の「達人」


社会
<金口木舌>絵本の中の「達人」
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 子どもと一緒に絵本を読むと、気づけば作品の世界に引き込まれている。個性的な絵と奥深い物語は大人が読んでも楽しい。お気に入りの作家や作品も増えていく

▼3月に亡くなった、さとうわきこさんの「ばばばあちゃん」シリーズも好きな絵本の一つ。明るくて活発な主人公が繰り広げる物語は魅力にあふれる。読み聞かせを終える頃、親子は自然と笑顔になっている
▼ばばばあちゃんは作中で、大小さまざまな困りごとに直面する。そんな時、抜群の行動力とちょっとした工夫で楽しいことに変えてしまう。どんな困難も乗り越え、前向きに生きる達人のようだ
▼絵本で描かれる世界と比べると、今の時代は便利なことが多い。分からないことがあれば簡単に調べられるし、何でも手に入る。ただ、自分の頭で考えて工夫する機会は減ったようにも思う
▼日常生活では予期せぬ困難に出くわすこともある。そんな時は、ばばばあちゃんの姿を思い出す。解決の道筋を考え、勇気を持って行動する。一歩ずつ積み重ねていけば、私たちも達人に近づける。