<金口木舌>ルーツからたどる地名の由来


<金口木舌>ルーツからたどる地名の由来
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 広い土地を意味する沖縄の言葉「ヌー」は野国や野里の由来、平地は「トー」と言い、桃原や当間、長堂などの地名となった。沖縄の地名は土地の形状や風土を映し出す。民俗学者・宮城真治さんが著書「沖縄地名考」で説いている

▼開墾地は「キナ」が付く。うるま市の屋慶名は「焼きキナ」で山畑の草を焼き払って開墾した地で、同市の安慶名は「開(あ)けキナー」の意味。名護市振慶名は「ブリク・キナ」が由来という

▼「ブリク」は石が群立つ場所を指す。平らで畑地が続く現在の姿から想像できない。先日、地元住民らと集落のルーツを訪ねて合点がいった

▼蔡温の山林政策で1736年、現在の今帰仁村湧川から集落を移した。住居や拝所などがあった湧川の「ガジマンドー」と呼ばれる小高い場所のあちこちに石灰岩がせり出している。「ブリク」のことかもしれない

▼振慶名区は12年後の移転300年の節目に向けて地域の歴史や文化を受け継ごうと、勉強会やウオーキングコース設置に取り組む。集落の歴史を継承する息の長い活動になりそうだ。