「心の中に咲いてた花が ひとつとつぜん枯れました」。喜納昌吉さんの作品「少女の涙に虹がかかるまで」は事件に遭い、命を落とした少女に捧げたとされる
▼1996年に名護市で帰宅中の女子中学生が拉致、殺害された事件から21日で28年がたった。深い悲しみ、犯人への怒りとともに遺族は四半世紀余の年月を送ってきた
▼警察、ボランティア団体が16日、国頭村奥の事件現場を訪れ、建立された観音像に手を合わせた。視界が狭まるほどの豪雨は、不思議とその時間帯だけ小降りになった
▼現場には捜査に携わった県警OBや2年目の若い警察官の姿もあった。当時は科学捜査も現在のように発展していなかった。遺族は根も葉もないうわさにさいなまれた。裁判結果にも苦しめられた
▼冒頭の歌の歌詞は「涙がでてきて とまらず あなたに私の心をあげたくて」と続く。捜査の在り方や被害者支援は教訓として警察学校で受け継がれている。事件を忘れまい。そして悲惨な事件を二度と起こさせない。そのことが少女への報いにもなる。