琉球新報社 ボクシングの試合をリングサイドで取材している時、強烈な頭痛に襲われた。夜の県立病院に駆け込み、大混雑の待合室で運動面の記事を書いた。そんな数年前の出来事を思い出す
▼頭蓋に金属を刺されるような症状がしばらく続いた末にたどり着いた病名は「後頭神経痛」。ボクシングは頭痛の要因を知るきっかけとなり、倒すか倒されるかという非情を痛感した
▼その時見た試合に翁長吾央さんの姿があった。その後何度かタイトルに挑戦したが届かず、６年前に37歳で引退。ロッカールームで「悔しいけど、これが僕の人生だった」と語った。最後まで諦めない姿を忘れない
▼引退前、翁長さんが練習した琉球ジムには、当時琉大生だった池本夢実選手もいた。卒業後は警察官をしながら、世界ボクシング機構アジア太平洋女子ライトフライ級王座を戴冠。初めて会った７年前からその求道的な印象は変わらない
▼那覇署の地域課に配属されたと聞き、夜中に那覇でパトカーを見るたび「チバリヨー池本」と応援してきた。アジアは取った。次は世界だ。
