【今帰仁】東日本大震災からの復興のシンボルとして全国に株分けされている「奇跡のあじさい」が4月下旬、今帰仁城跡で初めて開花した。植え付けから3年、挿し木を行い、株数は3株から14株に増えた。薄ピンクの花びらが、城跡を彩っている。
「奇跡のあじさい」は震災で決壊した福島県の藤沼湖の湖底で見つかり、地元の長沼商工会が全国に株分けしている。今帰仁城跡には浦添市を経て、2019年6月に植えられた。保水力のある土の選定と水やりを重ねた結果、しっかりと根付いている。梅雨入り前に開花し、今月上旬にはつぼみもいくつか確認できた。青みがかった花も咲こうとしていた。
今帰仁村グスク交流センターの原田健太さん(46)は「沖縄の環境に合うかを見ながら、テナントの皆さんとともに工夫をしながら世話したが、ようやく咲いた。これから城跡を花いっぱいの場所にしたい。歴史や文化に加え、自然も楽しんでほしい」と話し、村民や観光客に来訪を呼び掛けた。
「奇跡のあじさい」が植えられた場所は、城跡の駐車場から店舗や券売所が入った建物に向かう途中の通路。チョウが舞う中、テッポウユリの脇に謙虚に咲いているように見える。桜で有名な一帯だが、原田さんや店舗の店員らは花を増やして新たな見どころをつくりたいという。
(増田健太)