【うるま】沖縄県立中部病院で昨年11月、大きな出産リスクを乗り越え、「非常にまれ」(同院)という自然妊娠の一卵性三つ子が誕生した。今月4日に百日記念の写真を撮影した両親の比嘉克也さん(30)=読谷村=と奈美子さん(同)は「成長はゆっくりだけど、できることが増えている」と息子たちの健やかな成長を喜んでいる。
誕生は昨年11月14日で、3人とも男の子。名前は長男が一護(いちご)ちゃん、次男が碧仁(あおと)ちゃん、三男が幹登(みきと)ちゃん。
妊娠25週での出産という多胎妊娠特有の早産だったため、3人は体重が500~600グラム台で産声を上げた。身長は30センチほどで、一人一人が克也さんの片手に乗るくらい小さかったという。
初めての出産だった奈美子さんは、翌日に3人と初対面した時のことを「あまりに小さくて、生きていけるか不安だったが、顔を見て感動した」と振り返る。不安とうれしさが入り交じり、涙が止まらなかった。
碧仁ちゃんは生まれて4日後、未熟児特有の合併症で手術を受けたが、無事に乗り越えた。3人は今もNICU(新生児集中治療室)にいるが、それぞれ体重2千グラム超に成長し、今月中にも退院できる見通しだ。
新生児内科の真喜屋智子副部長は「初出産が自然妊娠の三つ子、早産児で、不安いっぱいだったと思うが、お母さんは前向きに頑張っている。そろって百日記念を迎えられた」と目を細める。
子と孫は全て女の子だった奈美子さんの父・大城徳正さん(67)は「男は大変だからね」とうれしさを隠せない様子。母・洋子さん(59)は「宝くじが当たったみたい」と笑顔で話した。
一護には「弟たちを『護(まも)』る」、碧仁には「『仁』の言葉通り兄と弟を思いやる」、幹登には「木の『幹』のように兄を支えて」との思いを込めた。比嘉さん夫婦は「支え合う兄弟になってほしい」と話した。