福島の子 慶留間の海に 知花くららさんが招待 貝拾い、海水に「しょっぱい」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
慶留間の海を満喫した福島在住の子どもたちと、「げるまキャンプ」発起人の知花くららさん(中央)=25日、座間味村慶留間島

 【座間味】福島県内で暮らす4~11歳の子どもたち12人と母親6人を沖縄県座間味村慶留間島に招いた「げるまキャンプ」(同実行委主催)が24、25の両日開かれた。東日本大震災や福島第1原発事故の被災者を支えるため、県出身モデルの知花くららさんが2012年から毎年開催。子どもたちは海底をのぞいたり、貝拾いを楽しんだりした。「海ってしょっぱいんだ」と海水の味を確かめる子もいて、海を満喫していた。

 「げるまキャンプ」は2011年秋ごろ、被災者の母親の思いを聞いたことから始まった。原発事故による汚染を心配して子どもに土遊びや海水浴を楽しませてあげられないという悩みに接した知花さんは「子を守ろうとするお母さんを助けたい。わずかな時間だけど、沖縄の自然の中で思いっきり遊んでほしい」と思い立った。キャンプ開催は今回で6回目。慶留間島を訪れた子どもたちの多くが震災後始めて海に入った。

 現在いわき市に住む内藤理恵さん(42)の娘・愛美(あみ)ちゃん(5)は、生まれて初めて海に入った。理恵さんは、何度も海に飛び込む愛美ちゃんを複雑な思いで見守った。「『海ってしょっぱい』と言われて、この子は海の味も知らなかったんだって」と話し、目に涙を浮かべた。

 震災後、福島第1原発から約30キロ先の仮設がある地域の病院で娘・恵都ちゃん(4)を出産した手島敏江さん(37)は、今も仮設住宅で暮らしている。「毎日食べ物に気を使う。問題は解決していない。でも沖縄に来て、少し開放された。娘もずっと笑顔で遊んでいる」と話し、穏やかな表情で娘を見詰めた。

 知花さんは「1回目より、お母さんたちの葛藤は強くなっている。まだ放射能汚染の不安に悩み、葛藤しているお母さんはたくさんいる。復興に水を差すのではと、不安を口にできない人もいる。心の底から安心するまでキャンプを続けたい」と語った。

英文へ→Kids from Fukushima invited by Kurara Chibana to enjoy beach in Geruma