ランドセル、姉妹で12年 亡き祖父の愛 背中に感じ 那覇市の古堅千里(18)、美空(12)さん


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 沖縄県那覇市の古堅千里さん(18)と美空さん(12)姉妹は祖父から贈られたランドセルを12年間、大切に使い続けた。美空さんは22日、那覇市立城東小学校を卒業し、千里さんは4月、県内の大学に進学する。姉妹は、大好きだった亡き祖父への感謝を胸にそれぞれ新たな学びの場へ羽ばたく。

姉妹で12年間同じランドセルを使った姉の古堅千里さん(左)と妹の美空さん=21日、那覇市首里石嶺町の城東小学校

 ランドセルは2006年、千里さんが城東小学校に入学する際に、石垣島に住む祖父の博さんが贈ったものだ。博さんは、姉妹の行事や発表会の度に島から会いに来て、成長を見届けた。2人を「ちっち」「みく」と呼び、会うとポンポンと頭を優しくなでた。穏やかで静かな博さん。「誕生日おめでとう」「コンクール上手だったよ」。石垣からたくさんの手紙も寄せた。しかし11年4月、博さんは72歳の時、がんで他界。翌年、千里さんは小学校を卒業した。母の里香さんは、それほど傷んでいないランドセルを手に、小学校入学を控えた美空さんにどうするか尋ねた。「じいじも本当は美空に買ってあげたかったはず」。母親の言葉に美空さんは使い続けることに賛同した。

 さらに6年間、使われたランドセルは肩ひもの一部や内側の部分がぼろぼろになった。しかし、叔母の手作りカバーがかけられていた表部分はきれいなまま。里香さんは思い出にこの部分で姉妹のネームカードを作りたいと考えている。

 姉妹にとって今も、博さんは大切な存在だ。千里さんは大学で観光を学び、将来、空港で働きたいと考えている。その理由を「空港は、おじいちゃんに会いに行く時によく使った。空港にいるとおじいちゃんを思い出して安心するから」と語る。美空さんは、中学校でも吹奏楽部でサックスを続けるつもりで「演奏会、おじいちゃんに来てもらいたかった」と惜しんだ。
(中村万里子)