全身の力が衰えていく病気のため、人工呼吸器が必要な湯地駿羽(ゆじはやと)君(12)が22日、那覇市立高良小を卒業した。人工呼吸器を装着する児童が地域の小学校を卒業するのは沖縄県内で初めて。湯地君は4月から同市立小禄中学校に通う。幼稚園から7年間、共に成長してきた友達と笑顔を見せた。
人工呼吸器の管理や痰(たん)の吸引などの「医療的ケア」が必要な児童は特別支援学校に通うことが多いが、「地域で育てたい」という両親の希望で高良幼稚園、高良小学校に入学。7年間、母三代子さん(43)が付き添った。
学校生活は「みんなと一緒」がキーワード。安全面に配慮しながらプールに入り、運動会も参加した。5年では伊江島への宿泊学習、6年では修学旅行にも参加した。障がいのある子もない子も一緒に学ぶ環境の中で子どもたちは育った。
幼稚園から一緒の平仲司君(12)は「一番の思い出は運動会と修学旅行。運動会はどうすれば駿羽君と共にできるか考えた」と振り返った。上原こゆきさん(12)は湯地君の元に駆け寄り「中学一緒に行こうね。春休みも遊ぼうね」と約束した。
担任の宮城正美教諭(53)は「子どもたちは、一緒にいることで人への優しさを学んでいった。これが本当の人権教育だと思う」と話した。(玉城江梨子)
◆182校で門出
9日から順次行われた県内公立小学校の卒業式は22日、本年度最多となる182校で執り行われた。この日で全公立262校の6年生が母校を後にした。