「津嘉山酒造所」主屋の改修、本格化 県内最大級の戦前木造建築


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 【名護】国指定重要文化財「津嘉山酒造所施設」(名護市大中)の貯蔵作業場が一体となった主屋の改修工事が本格化している。1928年ごろ建築された木造建築物で県内最大規模とされている。

同施設の老朽化に伴った工事で、現在は瓦を外し、柱や壁など全ての材木に場所を示す印を付けた上で解体作業に着手。保存状態などを確認し最大限に活用しながら施設全体を修復する。工事は2017年までの予定で修復後は名護市の文化資源として、さらなる活用が期待されている。
 施設の建物保存や泡盛造りの継承などを目的に活動する津嘉山酒屋保存の会(岸本林会長)は、20~28日まで名護博物館で「よみがえれ!津嘉山酒造所施設」と題した展示会を開催する。保存修理工事の概要や酒造りの歴史などを写真や道具で紹介する。21日には現場見学会も行い、工事に携わっている文化庁所管の公益財団法人「文化財建造物保存技術協会」(東京)の職員が現状を解説する。
 展示会や見学会について、岸本会長は「歴史ある文化財が新しく生まれ変わる様子をしっかり伝えたい。多くの市民がその価値を再認識してほしい」と呼び掛けている。保存技術協会の津嘉山酒造所施設設計監理事業所の渡部幸夫所長は「100年、200年先を見据えた修復だ。昭和初期の建造物の魅力を伝え残したい」と話している。
 戦火をくぐり抜けた津嘉山酒造所は、戦前の建物で操業する県内唯一の酒造所とされている。11年10月、主屋の裏にある麹(こうじ)屋(麹を発酵させる施設)の改修が始まり昨秋に完成。ことし7月ごろから主屋を手掛け始めた。
 工事と並行し銘柄「国華」を製造しており、幸喜行有工場長は「解体、保存、修復と一つ一つ大変な作業だが、どのような姿になるのか今から楽しみ」と期待している。
 展示会や見学会(要予約)については名護市教育委員会文化財係(電話)0980(53)3012。

国指定重要文化財「津嘉山酒造所施設」の主屋の解体作業が本格化している=15日、名護市大中
解体作業に伴い、柱や壁など一つ一つの材木に場所を示す印が貼られている